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クリーン農業論 | 拓殖大学北海道短期大学

シラバス(講義要項)

クリーン農業論担当: 田中 英彦(たなか ひでひこ)

開講コース

地域振興ビジネス 2年次 前期

目的と内容および到達目標

20世紀は大量生産・大量消費の時代となり、農業においては食の安全・安心が危ぶまれるとともに、環境に及ぼす負荷が増大し、このままの近代化には限界が見えてきた。本講義は、このような視点で農業の現状を理解するとともに、今後目指すべき21世紀の農業である環境保全型農業「クリーン農業」の理念と具体像を学ぶ。

到達目標は以下のとおりである。
・人類の農耕開始から現代に至るまで、農業が環境とどのようにかかわってきたかを正しく認識する。
・急速に近代化した農業がどのような環境問題を抱え、これからの農業がどうあるべきかを理解する。
<SDGs(持続可能な開発目標)との関連>
 ②飢餓 ⑥水 ⑧成長・雇用 ⑨イノベーション ⑫生産・消費 ⑬気候変動 ⑮陸上資源 

授業計画

[前期]
1.農業と環境の関係        : そもそも農業とは何か、環境とは
2.農業生態系に関する基礎知識   : 自然生態系と農業生態系の違い
3.拡大を続ける人類の活動     : 18世紀の産業革命によって農業や食料生産はどう変化したか
4.化学肥料の発明と普及      : 化学肥料が農業をいかに変え、農業環境に影響をもたらしたか
5.化学肥料による環境負荷と軽減技術: 化学肥料の使用量を合理的に減らすには
6.有害生物の防除と化学農薬の開発 : 化学農薬が農業をいかに変え、そして環境に悪影響をもたらしたか
7.農薬登録と安全性の確保     : 我が国の農薬登録制度、農薬の残留基準とは
8.減農薬をいかに達成するか    : IPM(総合的病害虫・雑草管理)とは
9.遺伝子組換え作物        : 遺伝子組み換え作物の現状と北海道の取り組み
10. 日本の食料・物資の収支     : 日本の食料需給の不均衡、日本の輸出入の不均衡
11. 欧米の農業環境政策       : アメリカの低投入持続的農業、EUの農業環境政策
12. 日本の農業環境政策       : 環境保全型農業の始まり、食の安全安心・規格・表示の取り組み経過
13. 農業の規範・基準        : 農業にも規範・基準の時代、GAP、ISO、HACCP、JAS、YES! clean
14. 有機農業とは何か        : 有機農業の理念、作物生産技術、普及の現状
15. クリーン農業を学ぶ意味     : めざすべき環境保全型農業とは

単位数

2単位、授業回数:15回

講義の進め方

3回に2回は遠隔(オンデマンド)、1回は対面で授業を行う。
授業計画に沿って、プリントを配布し、パワーポイントを用いて講義する。
毎回、出席確認を兼ねて、授業内容の理解度等を確認する小テストを実施する。

試験と成績評価

毎回の小テスト(50%)と期末試験(50%)によって、到達目標の達成度を判定し成績評価を行う。

担当教員から受講生諸君へ

本科目は、「知識の習得」より「農業のあり方を理解」することを主眼としているので、常に考える姿勢を持って講義に臨み、授業終了後は毎回プリントを熟読し、その趣旨を理解すること。
遠隔授業か対面授業かの連絡は、掲示板とActive mailで連絡するので、必ず確認すること。

使用教材

教科書 :プリントを毎回配付する。
参考書 :『クリーン農業時代』相馬 暁監修(チクマ秀版社)、『北海道いま農業が面白い』『2020年農業が輝く』相馬 暁(北海道新聞社)、『クリーン農業導入手引き書』北海道農政部編(北海道農業改良協会)2002

*実務経験のある教員による授業科目[実務経験と授業との関係]
担当教員は、農業試験場での実務経験を有し、当該科目における農業の現状を理解するとともに、今後目指すべき21世紀の農業で
ある環境保全型農業「クリーン農業」の理念と具体像について教授します。