令和元年度 卒業生の皆さんへ 総長祝辞
拓殖大学北海道短期大学卒業生の皆さんへ
まず、拓殖大学北海道短期大学卒業生の皆さんに心からご卒業のお祝いを申し上げます。卒業式が挙行できずに残念でしたが、現状の環境下ではやむを得ない対応であったと思います。私も卒業式に出席してお祝いの言葉を申し上げたいと願っていましたが叶いませんでした。
さて、卒業生の皆さんは2年の歳月がいかに早く過ぎ去ったかについて深い感慨を持っておられると想像します。一方で、周りの環境には多くの変化が出ました。自然災害もありました。そして、今回の新型コロナウイルスの問題です。私たちの住む世界は未だ、混とんとしており、我々はこうした変化に柔軟に対応することが求められています。
卒業生の皆さんは、これから実社会に入るといろいろな困難に直面することがあると思います。人の一生は人によって辿る道は異なりますが、その実態は苦楽の繰り返しです。要は、苦しい時期をいかに切り抜けて賢明に生き、自分の目標やあるべき姿を追い求めていくかです。これからも様々な事態に遭遇すると思います。その度に、生きていて良かったという幸せを感じる時もあれば、苦しくて死を予感する場合もある。いずれにしても、人は生きている限りこれらの苦節を乗り越えて生きていく運命を背負っており、これから逃れることはできないのです。こうした時に人として賢明に生きるためには、まず、忍耐すべきことは耐え自ら進んで楽な道を選ぶより、苦しい道を選択することです。そして、自分は苦しくても自分の家族・親族の安全と幸福を何よりも大切にすることです。
教育とはそのような人間として振る舞う時の基本的素養を学ぶためにあります。皆さんの学校教育は終わり、これからは実社会で社会教育を受けることになります。そして皆さんがこれから心がけることは、社会の良い歯車になることです。他人と協調し、協力すること、他人に好かれること、他人に頼られるような人になること。これが実社会に参画する皆さんの当面の目標です。社会は善人ばかりいるわけではありませんが、そういう人から逃げないことです。他人が嫌だと思う仕事を引き受ける勇気を持ってください。自分の住んでいる地域に貢献する心意気を持ってください。また、すべての振る舞いを通じて、自らを省みる気持ちを忘れないでください。
人の一生や周りの状況は変化します。しかし、自分が自分であることは変わらないのです。この短期大学で学んだことも変わりません。その貴重な知識と経験を生かして皆さんが精一杯、人生を送られることを期待します。そして、この学び舎は皆さんの心のふるさとです。後輩を励ましに出かけてくる皆さんの姿を楽しみにしたいと思います。皆さん全員のご健闘を心からお祈りし、卒業にあたり皆さんを贈る言葉とします。
令和2年3月15日
学校法人拓殖大学総長 森 本 敏