保育原理担当: 横関 理恵(よこぜき りえ)
開講コース
保育学科 1年次 前期
目的と内容および到達目標
少子化の到来に加え,子どもが育つ家庭や地域の環境が急激に変化している今日,保育への期待は社会的にも益々高まっている。また,平成30年より改定保育所保育指針,幼保連携型認定こども園教育・ 保育要領,幼稚園教育要領(以下,「保育指針等」と略記)が実施されており,保育の現場は,変化の中にある。こうしたなかで保育者は,就労家族を支援するのみならず,乳幼児期の子どもの最善の利益の確保を目指し,権利保障の観点,格差是正の観点を持つことが重要である。そのためには,保育者は,現行の保育制度を十分に理解したうえで,保育の理念および基本的な知識を身に付け,向き合わねばならない課題を正確に捉え,自ら解決する力が必要である。こうした力量を身に付けられるようになることが,本授業のねらいである。
授業ではまず,保育指針等をもとに,現行の保育制度と法規等について十分に理解したうえで,保育の理念・概念,保育思想の歴史的変遷,保育内容や方法についての基本的な知識を身に付ける。さらに,具体的な事例を用いて,国内外における子育ての現状と課題を把握し,その解決方法を考察する。
到達目標は以下のとおりである。
・保育所保育指針等を読解し,そのなかで示されている保育の基本について理解し,説明することができる。
・保育の意義及び目的,保育に関する法令及び制度について理解し,説明することができる。
・保育の思想と歴史的変遷について理解し,説明することができる。
・現在の保育と子ども,子育てにおける課題を把握し,その解決方法について考察し,意見を述べることができる。
<SDGs(持続可能な開発目標)との関連>
④教育 ⑤ジェンダー ⑩不平等
授業計画
[前期]
1.保育の理念と概念
2.保育の社会的役割と責任
3.子ども・子育て支援新制度と保育に関わる関係法令
4.保育の実施体系
5.保育所保育指針に基づく保育
6.保育の目標と方法
7.乳児の保育
8.1歳以上3歳未満児の保育
9.3歳以上児の保育
10.子ども理解に基づく保育の過程➀理論編
11.子ども理解に基づく保育の過程②実践編
12.諸外国の保育の思想と歴史
13.日本の保育の思想と歴史
14.諸外国の保育の現状と課題
15.日本の保育の現状と課題:課題を解決するために:グループディスカッション・レポート作成
単位数
2単位、授業回数:15回
講義の進め方
基本的には講義形式で進めるが,ひとつの事例について全員でグループディスカッションするなど,学習者それぞれが自分の考えや意見を述べる機会を多く取りたいと考えている。
試験と成績評価
筆記試験(90%),授業への参加状況(グループディスカッション/リアクションペーパーの内容,意欲・態度)(10%)
担当教員から受講生諸君へ
保育においては,子どもの成長・発達だけを考えるのではなく,その子どもが生活し育つ家庭や地域の環境に目を向けることが大切である。現代社会のさまざまな問題を,ニュースや新聞,インターネットなどさまざまなデータを通じて把握し,子どもの最善の利益を実現するためには保育者はどのような関わりが必要なのか,どのようにして環境を整えるべきか,自分なりに考えようとする姿勢を求める。
使用教材
教科書 :天野珠路他『保育原理』中央法規,
参考書 :西郷泰之・宮島清編(一般社団法人全国保育士養成協議会監修)
『ひと目でわかる 保育者のための児童家庭福祉データブック2021』中央法規,2020年厚生労働省『保育所保育指針解説(平成30年3月)』フレーベル館,2018年内閣府・文部科学省・厚生労働省『幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説(平成30年3月)』フレーベル館,2018年文部科学省『幼稚園教育要領(平成30年3月)』フレーベル館,2018年