社会的養護内容担当: 宮川 新治(みやかわ あらたし)
開講コース
保育学科 1年次 後期
目的と内容および到達目標
家族を失った子ども達のためにあった児童福祉施設は、家族により傷ついた子どもの養護の場となった。それば
かりでなく、児童福祉施設には、家族を修復することも求められるようになっている。
その結果として施設で働く保育士には、高い専門性をもつ「福祉職」としての自覚とその機能が求められている。
当然、保育士の役割は、子どもと一緒に暮らす「家族の代替者」でなく、子どもと家族に対応する「専門的な支援者」
になる。社会的養護内容を学ぶことにより、時代の変貌により多様化する「施設保育士」へのニーズを明確にとらえ、
専門職としての基礎を構築していく。
到達目標は以下のとおりである。
・現場実践の様子が理解でき、社会的養護に強い関心や興味を持つことができる。
・事例検討により、社会的養護に求められる専門性について理解することができる。
授業計画
[後期]
1.社会的養護における児童の権利擁護と保育士の倫理及び責務
2.被虐待児童の理解と対応
3.日常生活支援と諸施設の暮らし (児童養護施設)
4.日常生活支援と諸施設の暮らし (乳児院・母子生活支援施設)
5.日常生活支援と諸施設の暮らし (医療型障害児入所施設)
6.日常生活支援と諸施設の暮らし (情緒障害児短期治療施設 児童自立支援施設)
7.保育士の専門性に関わる知識・技術 (心の傷を癒し、心を育むための援助)
8.保育士の専門性に関わる知識・技術 (親子関係の調整)
8.保育士の専門性に関わる知識・技術 (ソーシャルワークに関わる知識・技術とその応用)
10.事例検討 Ⅰ「受け止めること、伝え続けること:重篤な身体的虐待による事例」
11.事例検討 Ⅱ「焦らず、たゆまずに、信頼感、共通感覚を育む:アスペルガー症候群による事例」
12.事例検討 Ⅲ「きめ細やかで、多面的関わりと連携:代理ミュンヒハウゼン症候群による事例」
13.事例検討 Ⅳ「良きことも、悪しきことも成長の過程:虐待によるPTSDの事例」
14.今後の課題と展望
15.総括 保育士に求められるソーシャルワークの実践について
単位数
1単位、授業回数:15回
講義の進め方
・出来るだけ多くの事例を取り上げ、児童福祉に携わっている体験等も交えながら、学生の社会的養護への理解を深めたい。
・事例検討では、課題を掲げ、グループごとのディスカッション等により意見発表をして、社会的養護への興味と見識を深める。
試験と成績評価
講義終了時の課題レポート(80%)と、授業への参加状況(意欲・態度)(20%)を合わせ評価する。
担当教員から受講生諸君へ
社会的養護が何故今重要視されているか、子どもの貧困等、子ども達が置かれている状況を社会的な背景も含め共に学んでいきましょう。
使用教材
教科書:『社会的養護内容』 吉田眞理著 萌文書林
参考書:『子どもの育みの本質と実践』 全国社会福祉協議会