Topトップへ

土壌作物診断実習 | 拓殖大学北海道短期大学

シラバス(講義要項)

土壌作物診断実習担当: 生方 雅男・中村 隆一

開講コース

環境農学 2年次 前・後期

目的と内容および到達目標

今日までの多肥型の農業は土に養分を蓄積させてきた。昨今の肥料高騰により、土に蓄積された養分を評価し、その多寡にもとづいて施肥費を削減する取り組みが多くの地域で進められている。本実習では、土の養分蓄積状
況を把握することのできる土壌診断法を学ぶ。土壌と肥料からの養肥分供給量は作物の栄養状態にも大きな影響
を及ぼす。外見の症状や診断分析によって、物言わぬ作物の栄養状態を判断するための基礎も学ぶ。作物に適量
の養分を供給することは環境に負荷をかけること無しに、高品質な農産物を生産する上で欠かせない。この実習
で学ぶ事項は、本学科の標榜する環境保全型農業の基盤をなす技術である。
到達目標は以下のとおりである。
・土壌診断の主な項目の分析、作物栄養診断の分析を実際に経験する。
・化学実験の基本操作を理解し、実践できる。
・土壌診断結果に基づいた施肥対応を組み立てることができる。
<SDGs(持続可能な開発目標)との関連>
  ④教育 ⑫生産・消費 ⑮陸上資源

授業計画

[前期]
1.ガイダンス
2.実験基本操作(器具)
3.実験基本操作(分析機器)
4.肥料会社視察
5.土壌断面調査
6.土壌サンプル乾燥、土性・腐植・土色判定
7.土壌サンプル調整、仮比重測定
8.土壌微生物バイオマスの測定
9.湛水培養窒素培養開始、無機態窒素抽出・測定 
10.交換性塩基・湛水培養窒素測定
11.EC、硝酸態窒素測定、土壌水分量乾燥開始
12.葉柄汁液診断
13.中和石灰量準備、最大容水量・土壌水分測定
14.土壌pH、中和石灰量の測定
15.リン酸吸収係数の測定

[後期]
1.有効態リン酸の測定
2.腐植・可給態ケイ酸の測定
3.熱水抽出性窒素・可溶性銅、亜鉛の測定
4.レポート作成指示
5.土壌再分析
6.作物体分解
7.作物体無機成分分析
8.レポート返却 

単位数

2単位、授業回数:23回 2コマ連続授業

講義の進め方

分析実験を中心に授業を進める。自ら土壌調査を行い採取したサンプルなどを用いて、土壌の化学性を構成する各項目の分析を行い、その結果(土壌診断)から施肥・肥培管理法を組み立てる。JAなどで実施される土壌診結果を活用出来るように指導したい。また、拓大実験実習農場の土壌、作物を材料に栄養診断の手法を体験する。
ポット試験、現地試料の分析も組み合わせて多角的に学ぶ。

試験と成績評価

実習態度(30%)および分析結果に基づくレポート(70%)などによって成績を評価する。

担当教員から受講生諸君へ

農業大学校所属拓大委託生には必須科目である。実験器具と実験スペースの制約、さらの安全確保のために、24名を受講生の上限とする(農業大学校所属拓大委託生を含む)。
危険を伴う化学薬品を使用し、特殊な理化学器機および実験器具を用いる。事故の無いように、また、正確な実験操作ができるように、授業時間中は常に慎重かつ真面目な態度で臨み、教員の指示を聞き逃さないようにする。機材の関係上、個々の学生にとって実験を進めることができない時間帯がある。自ら学ぶ態度で、時間を有効に使うように心がける。また、受講者は白衣を着用して講義に臨む。
できれば、身近なほ場の土壌試料を学生各自で用意する。用意できなければ、担当教員が用意した土壌試料を教材に分析をすすめる。

使用教材

毎回プリントを配布する
参考書 :『北海道施肥ガイド2020』公益社団法人北海道農業改良普及協会.